2006年8月2日水曜日

清水國明『釣戦記、ブラックバス琵琶湖リリース禁止裁判』……何だかユウツになる読後感



山中湖情報創造館で借りた本。バス釣りの本かと思ったら、ブラックバス虐め集団ヒステリーに果然として立ち上がった一人のドンキホーテーのお話し。しょせん多勢に無勢、勝ち目はない。でもこういう人がどんどん出てこないとニッポンの将来は危うい。

この本:
Amazon.co.jp: 釣戦記—ブラックバス琵琶湖リリース禁止裁判: 本: 清水 国明: "「琵琶湖で釣ったバスはリリースしてはならない」魚を水に戻す自由を釣り人から奪う滋賀県の条例に異を唱え、行政訴訟を起こした著者が、第1回公判までの軌跡をつづる渾身のドキュメント。その過程で明らかになってくる、さまざまな事実。琵琶湖を本当に破壊し、食い物にしてきたのは誰だったのか。 "

日本のほとんどの動植物は外来種だ。家畜もそうだし、皆が楽しんでいる植物もそうだ。当然お魚の多くも外来種。人間だってそうだ。ブラックバスも外来魚だが、いまや日本の自然の一部となっている(ニジマスやアユや鯉と同じ)。セイタカアワダチソウもそうだ。アメリカザリガニも。ウマも西洋犬もそうだ。ところがブラックバスについては日本攘夷思想の憎むべき対象となってしまった。

こういう科学的な議論は別にして、ブラックバスを殺したくないと感じる人達にリリースを禁止して殺すことを強制する滋賀県の条例は、普通に考えて明らかにおかしいと思う。ところが清水国明がこれを言ったとたん、彼のHPは数万件の罵詈雑言書き込みで閉鎖に追い込まれたという。明らかに集団ヒステリーが日本を支配している。

NHKの朝ドラ「純情きらり」は近年にない良い朝ドラである。芝居としてもすぐれているし、演技が本格的。主人公もとてもいい。何よりもいいのは、日本にもああいう時代(一億総火の玉、反対するのは非国民という時代)があったということを見せてくれること。

「ブラックバスは悪者、全部殺してしまえ」というPTAおばさんが大好きな環境「主義者」の主張も、これ似ている。「異文化であるブラックバスを排斥することはいいことなのだと」いう主張が、利権団体とその御用環境学者の連携プレイのおかげで、ニッポンの「隣組」思想として確立してしまっているのである。

このようなアホな議論を続けざるをえないことで、日本国は壮大なエネルギーの無駄遣いをしているのだ。これじゃ国際競争に負けるわ。

Posted: Wed - August 2, 2006 at 08:09 PM   Letter from Yochomachi   TV, Cinema & Books       Comments (4)

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