2006年8月11日金曜日

青柳純『ブラックバスがいじめられるホントの理由—環境学的視点から外来魚問題解決の糸口を探る』……これ良書



大学生の卒業論文が本になって注目を集めている。著者は滋賀県立大学環境科学部環境計画学科環境社会計画専攻の大学生だったが、その時琵琶湖のブラックバスリリース禁止裁判問題を仔細に研究。その卒業論文をベースにこの本が出来ている。内容は幅広く公平で且つ深みがある。この問題についてはヒステリックな議論がまかり通っているが、環境の専門家でも現実的な人もいると言うこと。後生畏るべし。


ブラックバスがいじめられるホントの理由—環境学的視点から外来魚問題解決の糸口を探る
ブラックバスがいじめられるホントの理由—環境学的視点から外来魚問題解決の糸口を探る青柳 純


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「生物多様性」、「漁業組合」、「釣り人」の三者の利害対立がうまく分析されている。現在多くの府県で「生物多様性」と「漁業組合」の連合が「釣り人」と対立するという構図になっているが、河口湖、野尻湖(また山中湖)などでは「漁業組合」と「釣り人」の連合が成立しているし、基本的にこの構図の方が自然であるとの見方。「生物多様性」の定義が曖昧だが、多様性は危機に瀕している種を特定の湖沼で保護すればいいと示唆。とても現実的な分析である。

Posted: Fri - August 11, 2006 at 05:44 PM   Letter from Yochomachi   TV, Cinema & Books       Comments

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